5秒以内に書かないと消えてしまう!
起動したらいきなりフルスクリーン表示になり、執筆以外の情報を画面上から強制的に排除する。
作業時間を選び(最短5分。最長で180分)、画面表示で使用するフォントを5つの中から選ぶ(日本語環境ではゴシック体か明朝体かにしか切り替わらない)。ファイル名を入力してエンターを押すと真っ白な画面が表示される。画面右上にタイマーが表示されており、文字列を入力するとカウントダウンが始まる。最も短い作業時間は5分である。実際にせきたてられながらの作業を始めると、5分は意外とながいということに気付かされる。1分や3分のモードがあってもいい。
文字列は、5秒以内に書かないとそれまでに入力した文字列が消えてしまう。一瞬で消えるのではなく、スーッと煙か幽霊かのように消えていく。とりあえず、消させないように空白を入力したり、無意味な改行をしたりして時間を稼ぎ、その間に単語や文をひねり出す。ただ、日本語のばあい、文字列を変換している間に、もはや文字列が消えかかってしまう。日本語環境で快適に使用するには、5秒は短すぎる。
時間制限を乗り越えて、強制的に文章を脳内から絞り出させるハードボイルドなテキストエディタだが、実際はファイルを一覧表示する画面にある” + “ ボタンを押してデータを追加すると、時間制限のない全画面テキストエディタとしても使える。
文字列の検索や置換、作成した文章の印刷機能など、当然のように搭載されていない。
書いた文章は自動的にEdit一覧に保存される。iCloud経由で他の端末とも同期される。一覧への登録以降は消える恐怖から解放されてじっくり編集ができる。書くことと、編集することを分けることが主眼のようである。
書き上げた文章をテキストファイル等に書き出すことはできない。Shareメニューから、他のアプリに転送することはできる。
フルスクリーン表示系のテキストエディタは既に様々なものが世に出ているが、そこからさらに一歩進んで、身体を書く行為に促すトレーニングマシーンであるように感じた。
jagard about
Flowstate, v1.06